新劇場版ヱヴァンゲリヲン序の感想 vol.1

 先日、映画「新劇場版ヱヴァンゲリヲン:序」を見てきたので、概要や思ったこと感じたことを率直に書いていきたいと思います。因みに筆者は旧テレビ版からの十数年来のファンです。以下ネタバレになりますので、まだ映画を見ていない方は読まないように気をつけてください。


上映開始直後の各社ロゴマークは控えめ

 映画の始まりには、制作各社のロゴマークが次々と出てくるのが決まりだけれど、今回は旧劇場版に比べてあっさり目。何となく予想通りだった。97年当時は派手派手しく度肝を抜くような動きをするデザインの企業ロゴマークがたくさん出てきて、観客側もおそらくそのようなスタイルを望んでいたんだろうけれど、10年経って見返してみると、どうもしつこい。なので今回あっさり目のロゴマークの登場の仕方で、やっぱり10年前とは違うんだなと納得した。


冒頭シーンから旧劇場版のラストシーンとリンクさせるサービス

 映画が始まる。まず海が赤い。最初の海の波打ち際のシーンは、旧劇場版のラストシーンを思わせるものになっていて一瞬ドキッとした。10年前の劇場の感覚に戻される。旧劇場版の続きやり始めるのかと焦った。あと、崩れたビルが林立する山の麓に殺人事件の現場にあるような白線が引いてあった。

 旧テレビ版と同じ画面構成が多いとはいえ、全体的にテレビ版よりも質量ともにボリュームアップしている。冒頭の碇と冬月の顔半分だけのシーンは、新劇場版とは言えやっぱりこのシーンはそのまま使ったのかとか、国連軍参謀3人もまた戻ってきたかとか、スクリーンを見ていてふと憧憬の念にとらわれる。サングラスの向こうの碇司令の目はしっかり描かれていた。それにしても爆破シーンが凄かった。いやもうこれだけ攻撃すれば、ネルフの出番もホントなさそうだったけど、第4使徒のサキエルは見事に健在。二つめの仮面の出方もボリュームアップ。

 ミサトさんの声が心配だったけど、テレビ版と同様、車で派手に登場。前にエヴァ10周年ラジオで聞いたときよりも、若返りしていた。

 綾波レイがストレッチャーで運び込まれるシーンは旧テレビ版と同じ。サキエルの攻撃余波で初号機ケイジに振動が起こり、レイが担架から落ちる。「大丈夫ですか!?」と駆け寄るシンジ。このセリフはテレビ版ではなかったけれど、どことなく他人行儀で何だか違和感を感じた。既に旧エヴァの世界が体に染みついているせいでレイが全くの他人とは感じられないからだろうか。でも全然知らない人があんな目に遭ったら「大丈夫ですか?!」と声に出して駆けつけるのが普通か。


劇場版なのでギャグ要素はやはり控えめか

 シンジが初めてエヴァに乗るシーンで、LCLで満たされる部分は、テレビ版ではギャグっぽく顔が膨らんだけど、新劇場版ではギャグ顔が極力抑えられていた。これは何となく分かる。新劇場版のエヴァは時間の限られた劇場作品だし、クオリティを重視すれば、テレビ版と違ってギャグを極力抑えていく予感がする。

 旧世紀版にあった「また迷ったのね」のリツコの水着シーンはカット。エレベーターでリツコとミサト達が鉢合わせするときにあった、ミサトの顔から少し離れた位置に黄色い王冠みたいなギザギザマークが表示される演出技法も排除されている。この演出技法は「美少女戦士セーラームーン」の演出家が初めて使用したものとのことで、エヴァ友の会によると、90年代のアニメに流行した表現とのこと。ナディアのCDのライナーノーツでも庵野監督はセーラームーンについて軽く言及していた。ちなみにミサトのモデルはセーラームーンの主人公「月野うさぎ」で、声は同じ三石琴乃なので、庵野監督のセーラームーンに対する愛着が伺える。

 ペンペンに驚いてミサトさんに「アレ!アレ!」と指さす名シーンはしっかり健在。オチはやっぱり爪楊枝入れだった。あとシンジが冷蔵庫を開けるシーン、ミサトさんの好みのビールの銘柄がエビスだけでなく、キリンクラシック?も追加されていた。つまみはドリトスだった。いつも食べてる袋が出てきて内心笑った。でも普通ドリトス冷蔵庫に入れるかな。


BGMに違和感を覚えるも興奮は冷めやらず

 シンジとゲンドウの初号機乗る乗らないのやりとりの部分が新しい音楽になってたけど、やっぱり旧エヴァがしみついてるせいか、どうも耳慣れない。その後の第4使徒との戦闘シーンの音楽も、どうもしっくりこない。旧版使った方が良かったんじゃないだろうかと、ちょっと見ていて心配になってきた。逆にやっぱり旧エヴァの音楽が新ヱヴァで流れると凄く興奮する。どうせアレンジするならもう一歩踏み込んでダイナミックに味付けした方が良かった気もする。どうも旧版と違う音楽が、旧版と同じシーンで流れると不安に感じる。でもその他のシーンでは久しぶりにdisicive battleの新バージョンが聴けて興奮した。

 またエヴァの見せ所の1つでもある使徒確認の画面は、かなり凝ったものになっている。たとえば、よくサイトでフラッシュ置いてるところは、フラッシュダウンロードの待ち時間に丸いのがクルクル回る表示があるけど、今回の使徒確認の画面で使われている。現代風スタイルも採り入れてるっぽい。この点素晴らしかったのと同時に、装飾が多い感じもした。でも旧劇場版から10年も経っているし、やはりこれくらい力を入れないと、違いも出てこないだろう。旧テレビ版→旧劇場版の時は、ブランク僅か1,2年だから、「待機中」のCG画面などもちょっとした変化があるだけで、それが洗練されたものとして映って違和感を覚えなかったけれど、10年もブランクがあったんだから、かなり大きく変化しているのは当然か。

 エントリープラグ注入シーンは、フルCG仕様で全く新しくなっている。各状況を表すパネルもテレビ版とは比べものにならないくらい綺麗。vol.2につづく。(2007.09.19.21:59)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Shiro SAGISU Music from EVANGELION:1.0 YOU ARE(NOT)ALONE
新劇場版ヱヴァンゲリヲンのテーマ曲は、旧版と同じく鷺巣詩郎が担当している。第6使徒ラミエルとの戦闘シーンでは、コーラスを伴う神懸かり的なクラシック風音楽が流れる。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q EVANGELION:3.33 YOU CAN (NOT) REDO.(初回限定版)(オリジナル・サウンドトラック付き) [Blu-ray]
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q Blu-ray


ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 Blu-ray


ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 Blu-ray


メールマガジン
『エヴァとの思い出』

(ID:0000236912)
まぐまぐ