第拾参話 使徒、侵入

エヴァは活躍しないけれど緊迫感溢れるシーンに痺れる!

 これもまた見ていて痺れる回です。特に使徒のMAGIに対するハッキングのシーンで、オペレーターの日向マコトと青葉シゲルが、美味しい役を演じてます。核発射の時のように掛け声をかけて二人同時に解除キーを回すシーンなど、微に入り細を穿っています。

 この回はやたら絵が綺麗です。ミサトもリツコも美人ですし、碇や冬月の顔もしっかりしています。CGのシーンや、水や気泡の流れの動きも見入ってしまいます。絵のクオリティの高さは劇場版を彷彿とさせます。リツコさんが主役の回なので、いつもよりも一段と美人に描かれています。この回以降、ばらつきのあった絵のクオリティが安定してきます。


前作の悪役のスナップをうまく活かしている冬月副司令

 「さあ、その姿をさらけ出すのだノーチラス号!」(ナディア)
 「さて、エヴァ無しで使徒に対してどう攻める」(エヴァ)

 シナリオ段階では、アイキャッチの直前には配置されず、冬月のセリフの後に碇のセリフが続くので、何のことはない、いつもの会話の一部となっているのですが、放送時にはアイキャッチの直前に持ってきたことで、セリフの重みが異なってきて、凄く映えてます。意味合いも、単なる提案から、この状況を愉しんでいるような挑発的なセリフに聞こえてしまいます。

 このセリフにしても、時々冬月は敵なのか味方なのか分からなくなりますが、いぶし銀だなぁ、と何度も唸らされます。やっぱり前作で魅力的な悪役ガーゴイルをやっているので、見ている間もいつか裏切るんじゃないだろうかと疑心暗鬼になってしまいますが、前作の悪役の味が、随所で活かされていていいですね。

 碇司令の「誤報だ、委員会にはそう報告しろ」というセリフ、何度聞いてもいいなー。あと、リツコのセリフと共に、収納されたMAGIがガタンと音を立てて、余韻を残して終わるのも痺れます。


誤報だ、委員会にはそう報告しろ。

 エヴァが放送されたのは1995年頃ですが、その前年の1994年頃に、個人的にコーエーの「提督の決断2」という太平洋戦争を舞台にしたシミュレーションゲームにハマっていて、その関係で同じコーエーから出版されていた「艦船ファイル」という旧大日本帝国やアメリカ海軍の軍艦の経歴を記した本を購入してペラペラ読んでいたので、ひょっとしてスタッフの中で、この本を読んでる人がいて、エヴァのキャラの名前は、旧大日本帝国やアメリカ海軍の軍艦の名前になったのかな、なんて当時妄想していた記憶があります。

 キャラ名に関しては、庵野監督の好きな宇宙戦艦ヤマトに影響を受けたのかも知れませんけどね。どっかにその辺の裏話が乗ってる記事ないかなぁ。

 あと、その本の中に、旧海軍のダバオ誤報事件についての記述もあったので、誤報という言葉がゲンドウの口から出たシーンを見たときに、ダバオ誤報事件を連想してしまいました。「誤報」という言葉は当時の自分としては耳慣れないカッコイイ言葉だったので、こうも接点が多いと、ついついそういう妄想もしがちになります。アニメの中で「誤報」という言葉を聞くのも珍しいので、なんだかあのシーンはカッコイイです。

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NEON GENESIS EVANGELION vol.04
出演:緒方恵美、三石琴乃、林原めぐみ、宮村優子
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発売日:2003/8/27
時間:110 分

使徒のハッキングを阻止した赤木リツコ博士

人工知能スーパーコンピューターMAGI(マギ)の由来は、旧約聖書にある東方より来たりし三賢者。星を頼りにイエス・キリストの生まれた厩を訪れ、イエスを祝福した。バルタザール、メルキオール、カスパーは、それぞれ三人の賢者の名前。ちなみにアーサー・C・クラークとスタンリー・キューブリックの映画「2001年宇宙の旅」では、人工知能のスーパーコンピューターの名前はHAL9000(ハル)。


  2001年宇宙の旅

冬月が「さて、エヴァ無しで使徒に対してどう攻める」と言うように、今回はエヴァの活躍は全くない。下手をすると地味なシーンに陥る可能性のあるハッキングとオペレーターとの攻防戦を、躍動感溢れるシナリオに仕上げている。

サウンドトラックにも収められている、自律自爆決議可決後のカウントダウンで流れる緊迫感と恐慌を煽るBGM「Pleasure Principle」は、最後は一転してファンファーレのように開放的な音楽に変わるが、放映シーンでは、逆ハック成功後に流れたであろう開放的な部分はカットされている。カットされた部分の曲を聴くと、オペレーターの日向マコトや青葉シゲル、伊吹マヤが、腕を上げて喜んだりガッツポーズしている姿が目に浮かぶが、実際のシーンでは、BGMは一切なく静かに終わっている。最後のMAGIの収容の音で画面が暗くなる余韻に満ちた終わり方も、通常のアニメとはひと味違った神妙なテイストを醸し出している。

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『エヴァとの思い出』

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